はじめに
会社生活をする人のおよそ4割が発達障害などの精神障害者と業務で関りを持つという統計が示すように、昨今ますます必要とされる精神障害者への理解。
会社の部下や従業員、特別雇用された障害者に適切に接することで両者にとって有益な社会を作ることが私たちに求められています。
発達障害は特徴に応じて様々な分類が行われています。今回は社会人の発達障害者がどのような特徴を持っているか、またその人物に適切に対処するためにどのような障害なのか判断の目安を提供します。
代表的な障害と特徴
１．ASD（自閉症）
- 対人関係に大きな困難を持つ
- 新しい事に対応できない
- 流れるように話せない
- 不意に言葉を出す
- 感情表現が不自然
男性に多く見られる自閉スペクトラム症と呼ばれるこの障害は対人関係や新しい事に適応する事が不得意という特徴があります。多くが幼児の段階で診断される為、本人が理解しています。
コミュニケーションがとても困難であるという印象を受ける場合、この症状が当てはまります。
一概には言えませんが、”言葉の遅れ、知的障害、自身のこだわりを譲れない”という症状を加えて持っている場合が多いです。
また、幼少期以降の社会的な環境の違いから二次障害（暴力的，共感性欠如）を患うケースもあります。
２．ADHD（注意欠落性、多動性障害）
- 集中できない
- 簡単なミスが多い
- 忘れ物、遅刻が多い
- 不必要な動きが目立つ (大きく頷く、指を差す、足をねじる、など）
近年、潜在的罹患者が最も多いとされているのがADHDです。軽度から重度に多様な症状が存在しています。十分な時間無しでは判断できない場合があるのがADHDです。多角的に判断しなければなりません。
個人の性格なのか、ADHDなのか判断するには特に衝動的な身体表現の有無によって評価できます。
例えば、じっとできず周りの行動を無作為に真似したり、不自然で過大な動作をする等の傾向があれば判断しやすいです。 コミュニケーションなどは問題なく行える方も多いです。
３．LD (Learning Disability) 学習障害
- 文章をスラスラ読めない
- 計算が苦手
- 書類等に字を書くのに苦労する
学習障害は読み書き計算の能力が知的能力に比べて著しく困難であることに代表される障害です。
軽症である場合も多く、障害と捉えてもらえない事が多々あります。長文の理解につまづいたり、簡単な計算の連続に苦悩するといった一般的な観点で不自然な状況に陥る事があればLDと評価できます。
仕事上での問題
これらの障害は先天性であるので、今まで学生生活で特に問題を起こさなくても、社会人として初めて問題とあるケースも少なくありません。
そのため、特にオンライン面接でこの要素を見落として評価すると、両者に多大な不利益が生じる為、十分に注意すべきです。特にコンプライアンスに厳しい企業の場合、平等に評価するという理念が独走し、人事の間でも”障害者であるか”という議論すらできないかもしれません。 そのため、面接の際には従来の質疑応答に加えて自然体なコミュニケーションを評価することが有効でしょう。症状が軽度な傾向であれば、職場での十分な信頼関係を築くうちに支障が無い事が殆どである点に留意しましょう。
これらの発達障害者が就業した際、どのような問題が起こるでしょうか。
まず第一に、彼らの症状を理解し、配慮する必要があります。特に他人が理解しにくい自閉症やADHD罹患者は人と関わり柔軟な対応が求められる業務は困難ですから、特定の業務でミスを続ける、集団になじめない、身近な存在がいないといった構造的問題に発展しやすいです。
学習障害者はテストや会話で理解しやすいですが、特定の場面で非常に簡単な読み書きが不意に出来ないといった精神的要素も影響するため、相談と支援が必要です。
モラルが叫ばれる現代で育った障害者には医者や施設、特別学級のような支援を全く受けてこなかった人も多いです。
そのため、自身の障害を自覚していないという場合も考えられます。勇気が求められることではありますが、担当者は自立支援医療と呼ばれる治療費控除制度を利用した認知行動療法やソーシャルスキルトレーニングなどの医療サービスを勧めるべきで、互いの理解を信頼関係に繋げていきましょう。
最後に
部下に精神障害者を持つ場合に注意しなければならない事があります。社員との関係性に関しては、仕事の事となると生易しい平等主義は薄れてしまいがちです。特に仕事量や給与の面でほかの社員から疎まれる事もあります。
その場合は、出来るだけ早急に会社指針として理解と協力を要請しなければ社会的損失、人材の損失といった不利益につながります。そういった状況を見過ごさず上長に相談などを遠慮してはなりません。
前述した障害者の多くに当てはまることは”自分の意志で行動できない”ということです。特に職場では「周囲の人間に気を使ったり、振る舞い方が分からない、自己裁量の判断がつかない」というパターンが非常に多いです。
この特徴を見つけた場合、当記事を参考にサポートしていきましょう。
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